関税とはなぜ

TPPが話題によっている。
ここで考えておきたいのはなぜ関税が存在するのかということである。

これを理解することで、特に製造業においての海外展開戦略が変わることがよくある。

関税とは基本的に自国産業の保護のために用いられる。

分かりやすい例として自動車産業を考えよう。

この人類が生んだ最大と言われる産業はトヨタや日産といった最終的に自動車を組み立てるメーカーを筆頭に多くのサプライヤーが存在する。
自動車組立メーカーに製品を供給するメーカーをTier1サプライヤーと呼ぶ。
これは今日においては自動車業界に限ったことではないが、特にこの業界で一般的に用いられる。
更にTier1サプライヤーに製品を供給するメーカーをTier2サプライヤーと呼び、Tier2サプライヤーに製品を供給するメーカーをTier3サプライヤーと呼ぶ。
このサプライチェーンが続く限りTierの数は増加していきTier1、2・・・・nとなる。

仮に自動車においても最も重要な製品の一つであるエンジンを例にしてみよう。
エンジンという製品は自動車組立メーカー自体が生産する場合が多い。
Tier1サプライヤーとしては、エンジンケース、シリンダー、シャフト等のメーカーが挙げられる。
Tier1サプライヤーへ製品を販売するTier2サプライヤーとしては鉄やアルミニウム等を生産するメーカーが挙げられる。
このn=3のサプライチェーンにおいて、自国で生産活動を行うTier数と他国で生産を行うTier数を例えば(自国:2)、(他国:1)のように表示する。
(自国:3)の場合は全てのサプライヤーが自国で生産活動を行い、それぞれの企業が雇用を行い、活動ノウハウを蓄積する。
これが自国の産業を発展させることは明白である。
過去において、人件費の安い地域での生産を求めて多くのメーカーが日本から出ていった時期がある。
この場合の多くは他国での市場を求めて自動車組立メーカーを筆頭に海外進出を行った意味合いが強く、単純に比較は出来ないが進出先の国の立場となった時に(自国:0)から(自国:2)になり、(自国:3)にしたい時に輸入されるTier3の製品に高めの関税をかければその思惑が有利に進む。

逆に日本でもTier3の製品に高めの関税をかければ、人件費の安い国で生産して日本に輪入しようとするメ-カーの海外進出に歯止めをかけるのに役立つ。

今日では複数国の利益が複雑に絡まり合い、単に自国の利益だけを考えて関税率を決めることは出来ないが、このような背景を理解しておけば、今後の海外進出戦略の作成に役立つであろう。