日本の中小企業の利点

日本の中小企業が海外進出を行うにあたっての利点の一つにヒトがある。

従業員が企業全体を考え、調和をもって事業を進めていく能力を身に着けていることである。

海外企業で営業を行う従業員は給料も成績に合わせたコミッション制を導入している場合が多い。
コミッション額が固定給の額を上回ることも多い。

日本では成績に応じたボーナスなどはあるが、基本的に能力差がそれ程給料に反映されない。
私も会社員時代、海外での営業を行っていた時に関係者と良く議論になったものだ。

販売しても販売しなくても給料の額は変わらないとすれば、なぜ働くのか海外企業の人達には理解し難いものがあったようだ。

当初、私はこのことを誇りに思っていた。
彼らが我々が働くモチベーションを理解できないことは十分に分かる。
また、それでも働く我々を誇りに感じていた。

海外企業での交渉で、よくバックマージンをオファーされたこともあるが、私は決して受け取らなかった。
金銭欲というよりも、海外企業と我々日本人の差を強く感じていたので、あくまでそこにこだわったということであろう。

私は今でもバックマージンを受け取らない場合が多いが、支払わないということではない。
業務を上手く潤滑させるために、合法的で、私の哲学に沿えば、相手をハッピーにさせるバックマージンは支払うし、必要であろう。
また、そのような業務を行うことにコンサルタントの意義がある場合もある。

話はそれたが、このような日本の中小企業の従業員が、海外事業をきっかけに自己に磨きをかけていく例も多い。

日本の中小企業の多くは、様々なリソースにかける場合も多いが、従業員を信頼出来るという事は世界のどの国の企業よりも恵まれており、そのようなヒトに機会を与え続けていくということが海外事業で成功するにあたって最も重要な事でもある。