なぜ中小企業の海外進出は難しいのかを考えてみよう。

事業を成功に導くには、経営の基本であるモノ、カネ、ヒトというリソースを上手くもちいてリターンを得る必要がある。

中小企業において、これらのリソースが不足していることが海外進出で挫折する原因である。
実に単純なことであるが、これを読みあらためて頭の中が整理される経営者も多いのではないだろうか。

現在の日本において多くの中小企業にはいいモノ(サービスも含む)はあるが売る人がいない、売るノウハウがない、とよく言われるが果たしてそれは本当だろうか。

いいモノとは何であろうか。
企業価値を高めるのに役立つモノがいいモノである。
企業価値を高めるには売上を増やし、利益を増やし、キャシュフローを増やす必要があるがこれらに貢献するモノを良いモノと定義しよう。
中小企業は大企業と違い経営者の意志でよいモノを定議することが出来る。
大企業においては株主の満足度をある程度の短期間で最大化する事が求められ徹底的にこだわったよいモノができにくい場合がある。
中小企業においては、経営者と株主が同じ場合や経営者が株主を説得しやすい場合も多く、企業価値を高めるための時間軸がある程度、柔軟に設定できる。

中小企業という概念を取り払えば、この成功の最も良い例としてアメリカのアップルが挙げられる。
経営者の企業価値を最大限高めるためのモノを使る徹底した意志がいくつもの困難を乗り越えて企業文化として定着した。

アップルは特別という人がいるだろう。
しかしこのような徹底したモノを使るための経営者の毎日の努力の積み重ねが海外においても人の心を打ち強くアピールするモノを生み出す最善策なのである。

カネ
海外進出においてはリターンが生まれるまでに時間がかかる場合が多い。
時間がかからなければ、その事業はその期間においては成功したことになる。
この連載では短期的に成功出来ない海外事業進出をいかに成功に導くかに焦点を当てていく。
一つの新規事業(試みともいえる)が成功したかどうかを測定する手法としてNPVがある。
NPVがプラスになるまでの利率が低くかつ長い時間がかかることが多くの中小企業が挫折する要因となっている。
この連載では、中小企業の海外進出を成功に導くためのカネの測定法を紹介していく。

ヒト
海外進出のスキルとして捉えた場合、残念ながら日本人は不利であると言わざるをえない。

現在ビジネス言語として使用されている英語は文法や発音等において日本語と大きく違い、英語をビジネスで不自由なく使いこなせる入材は特に中小企業にとっては不足している。

日本人は異国人とのコミュニケーションが苦手と言われている。
島国の単民族、単ー言語という環境である以上、当然のことではある。

恥ずかしいという感覚も英語を話したり、交渉カを養うにはマイナスになっている。

英語で書いた文章を相手に送る前にネイティブチェックを行う企業もよくみかける。
相手に間違った英文を送るのは失礼、恥ずかしいといった気持があるのであろうが、ネイティブチェックにかける時間は企業価値を高めるのに役に立っているか、評価してみる必要があるだろう。

それでは本当に不利なのか。
私は世界中でビジネスに関わってきて、日本人ほど尊敬を受けている人種はいないと実感している。
信用できる人、尊敬できる人を育成する事で企業価値を高めていくことが大切ではないだろうか。

ビジネスにおいて、すべての条件が揃って闘えることは稀である。

強み、弱味を客観的に測定し理解して取り組んでいくことが重要である。